今日のブログ担当、ボス西村浩です。
前回もコメントしましたが、うちの事務所は地方都市の仕事が多いです。
そこで、必ず話題にあがるのが、「○○らしさ」。とても大切なことなんですが、この話題になると、いつもう〜んと悩んでしまいます。。
当然のことながら、街にはなが〜い歴史があって、一言で「らしさ」といっても、どこの時代で見るかによって、その都市の「らしさ」が変わってくるのです。そしてそれが、人それぞれ見方違うってことが難しい。なぜなら、僕らが関わるモノづくりの対象は、1つしかないからです。
言われるままに、いろんな「らしさ」を盛り込んでいってしまうと、何がその街らしいのかわからなくなる。
また、大体「○○らしさ」を求められると、その多くの場合、わかりやすさが求められて、なんともうそっぽ〜いモノができあがってしまいます。これは、いわゆるテーマパークですよね。
街は、日常の暮らしを支えるもので、テーマパークではない。テーマパークはたまにいくから楽しいわけで、長い時間を過ごせるものではないし、長い時間に耐えられるものではないと思うのです。
みなさん、自分のまちをよ〜く見てください。
身の回りに「なんで?」といいたくなるようなモノがありませんか?
つくったときは話題になったけど、すっかり忘れ去られた「らしさ」の表現、心あたりがありませんか?
街を見渡せば、照明柱・サイン・ボラード・橋の親柱・高欄なんかに、いろんなわかりやす〜い「らしさ」が盛り込まれていることが多いです。
下の写真は、僕が30代前半に関わった長崎の万橋の親柱です。

この時は、ほんとに悩みました。
長崎では「おくんち」というお祭りがあるのですが、地元の街の山車が「くじら」で、それを親柱のデザインに反映させてほしいという要望がありました。写真の左側にある絵柄と「万屋縁起」を入れるというのが、具体的な要望でした。
いやぁ、悩みました。山車というものは、お祭りというハレの日に出てくるからこそ有り難いものであって、毎日見ることができるという状況が、本当にいいのかどうか。。
このときは、若かったこともあって(今でも若いつもりですが(笑))、だいぶ抵抗しました。
そして、最終的な落としどころが、写真のように、左側に小さめに地元からの要望の絵柄などをいれつつ、くじらの姿を抽象化して、親柱の柄にするというアイデアでした。写真の右側に柄がみえますよね。「らしさ」というものを盛り込まなければならないという状況になったときには、できるだけ抽象化することと、見て分かるデザインではなくて、「感じる」デザインにするべきだなぁと思っています。
今となっては、このデザインがよかったのかどうかはわかりませんが、街にはいろんな考え方の人がいて、その時々の状況によって、落としどころを見つけなければなりません。ほんとに難しい。。
それでも街に関わるときに、「○○らしさ」を追求していくことは、とても大切なことだと思います。
地方都市は、どこにいっても同じような風景が広がっています。三浦展さんがいわれるように「ファスト風土」化した風景です。東京や大都市圏と同じ暮らしを目指してきた地方は、確かに便利にそして何でも手に入る生活を手に入れましたが、それと同時に、「らしさ」を失ってきたのだと思います。
それに気づいて、あわてて「らしさ」をできるだけ分かりやすく再生しようとすると、どうしても地域の物産や歴史的な遺産をモチーフにした、安易なデザインがいろんなところに溢れかえって、街がテーマパーク化していくのです。
僕は、「らしさ」を考えるとき、一番大事なことは、時間だと思います。「らしさ」は時間がつくるものなのです。そして、本来は、人の暮らしぶりそのものが「らしさ」であるべきだと思います。
その土地の気候にあわせた暮らしぶりや、その地域特有の風習、そしてその地域でとれる食材つくられる料理など、便利になればなるほど頼る必要がなくなってしまった、地域特有の生活そのものをもう一度見直してみませんか?
時間はかかるかもしれないけれども、それが、一番しっかりと地に足のついた「らしさ」に繋がるのではないかと思うのです。
安易に、モノに「らしさ」を求めるのではなく、自分自身の生活そのものに「らしさ」を考えてみることが、もう一度地方特有の風景を再生していくと思います。地元の人にとっては全くの普通のことなのに、外から訪れる観光客にとっては、自分の街では感じたこともない体験をすることこそが、本来の旅の楽しみだったのではないかと思うのです。
これが、僕が考える「らしさ」問題。
そして、昨日、とある地方の広場の整備について、市役所から電話あり。
「市長が○○文化を表現した広場にして欲しいといってますので、よろしくお願いします・・・」
う〜ん。
さらに、本日、東京のとある建築のプロジェクトについて、施主からの要望。
「現代的なショパンのような表現で・・・」
う〜〜〜〜〜〜〜ん。。。。。
西村 浩